東京山側DMC
THINKING FROM TODAY'S NEWS
今日のニュースから考える
2026年11月5日
代表 宮入正陽のコラム

11月5日|今日は、「地域の未来は、計画書の中だけでつくるものではない」という話を考えてみたいと思います。

【今日のニュースから考える|2026年11月5日】

今日は、「地域の未来は、計画書の中だけでつくるものではない」という話を考えてみたいと思います。

昨日11月4日、東京都から興味深い発表がありました。多摩都市モノレールの延伸が予定される狭山丘陵・多摩湖周辺で、地域の魅力や将来のまちの姿を“体験できるプログラム”を実施するというものです。

多摩湖100周年の取り組み、地元4市と連携したライドツアー、狭山公園での演出、そして「これからのまちや暮らし」を体験しながら考えるプログラム。単に新しい交通インフラを整備するのではなく、インフラ整備をきっかけに、地域の自然・暮らし・観光・未来像を一緒に編集していく。ここが非常に面白いと思います。

https://www.my.metro.tokyo.lg.jp/w/000-20261028-274865148

地域創生では、道路をつくる。駅をつくる。施設をつくる。公園を整備する。こうした「ハード」の議論が先行しがちです。

でも、本当に重要なのは、その場所で人が何をするのか。何を感じるのか。誰と出会うのか。何を学ぶのか。そして、その場所を将来どのように使っていくのか。

つまり、ハードをつくる前後に、地域の意味をつくる「ソフト」が必要です。


もう一つ、東京都では現在、学校に通いづらさを感じている子どもたちなどを対象に、学校外でさまざまな体験活動を提供する「未来きらめきプロジェクト」を展開しています。11月2日にも新しいプログラムの募集が始まりました。

目的は、単に学校外で時間を過ごしてもらうことではありません。体験活動や異年齢交流を通じて、友達づくり、他者理解、安心感などのきっかけをつくり、参加者へのアンケートやインタビューを次のプログラム改善にもつなげています。

https://www.syougai.metro.tokyo.lg.jp/sesaku/mirai-kirameki/index.html

ここにも、同じ方向性があります。

地域を「利用する場所」から、「体験し、考え、関係をつくる場所」へ。

これは、これからの地域創生にとって非常に重要だと思います。


例えば、一つの森があります。

「自然があります」で終われば、地域資源です。

でも、子どもの探究学習にする。企業のウェルネス研修にする。サスティナブルツーリズムにする。地域住民の郷土教育にする。ガイド育成のフィールドにする。生物多様性や防災を学ぶ場所にする。

そうすると、一つの森が、教育、観光、健康、人材育成、地域経済をつなぐ社会インフラになります。

川も同じです。古道も同じです。農地も同じです。地域文化も同じです。

資源そのものより、「その場所を何の価値へ変換できるか」が地域の競争力になる。

私はそう考えています。


そして、行政や自治体の地域事業でも、これから重要になるのは「何を整備するか」だけではないと思います。

地域資源を調査する。住民の話を聞く。地域の物語を整理する。誰に体験してほしいのかを決める。プログラムをつくる。担い手を育てる。実際に運営する。参加者の反応を測る。そして改善する。

この循環までつくる。

以前も書きましたが、予算を使い切ることと、地域に価値を残すことは同じではありません。

大切なのは、事業終了後に、人材が残ったか。商品が残ったか。データが残ったか。地域外との関係が残ったか。次の仕事が生まれたか。そして、地域の人自身が自分たちの地域を少し深く理解できたか。

そこまで見ることだと思います。


東京山側DMCでも、自然体験、探究学習、サスティナブルツーリズム、ガイド育成、企業研修、地域資源調査を別々の事業とは考えていません。

地域を歩く。一次情報を集める。価値を見つける。体験へ変える。人を育てる。販売する。実践する。検証する。そして次の地域へ応用する。

地域そのものを「学びと事業の実証フィールド」にする。

これが、これからさらに必要になる機能だと思っています。


【今日の問い】

「自分たちの地域は、“完成した地域”を見せようとしているのか。それとも、“未来を一緒につくれる地域”になっているだろうか?」

地域の未来は、行政だけがつくるものでも、観光事業者だけがつくるものでもありません。

子ども。住民。企業。行政。学校。ガイド。旅行者。地域外の専門家。

いろいろな人が、その場所を体験し、問いを持ち、関わることで未来がつくられていく。

狭山丘陵のニュースを見ながら、地域創生にも、「未来を説明する」から「未来を先に体験してもらう」への転換が必要なのではないかと感じました。

施設をつくる前に、体験をつくる。体験から、地域の未来を考える。そして、そこから人・仕事・産業を育てる。

11月5日、そんな地域づくりがこれから全国でもっと増えていくと面白いと思っています。

【参考資料】
東京都「水と緑、モノレールがつなぐ、未来の風景」
https://www.my.metro.tokyo.lg.jp/w/000-20261028-274865148

東京都教育委員会「未来きらめきプロジェクト」
https://www.syougai.metro.tokyo.lg.jp/sesaku/mirai-kirameki/index.html


宮入正陽
株式会社 東京山側DMC 代表取締役

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