10月31日|今日は、AI時代に「人間の仕事は何が残るのか」ではなく、「私たちは何を、人間が担う仕事として残したいのか」という問いから考えてみたいと思います。
【今日のニュースから考える|2026年10月31日】
今日は、AI時代に「人間の仕事は何が残るのか」ではなく、「私たちは何を、人間が担う仕事として残したいのか」という問いから考えてみたいと思います。
ビル・ゲイツ氏は10月22日に公開されたインタビューで、AIやロボットが多くの仕事を担えるようになったとしても、保育、料理、芸術、スポーツなどについては、社会が「人間に任せ続ける」と選ぶ可能性があると述べています。
ここで重要なのは、「技術的に代替できるかどうか」だけではありません。
代替できても、人に担ってほしい仕事がある。
この視点です。
例えば、保育。
子どもが「嫌だ」と言ったとき、それは本当に嫌なのか。怖いのか。疲れたのか。うまくできなくて悔しいのか。
言葉だけを見ても分かりません。
普段の様子。表情。身体の動き。その子との関係。その場の状況。
そうした情報を全部合わせて、「今、何が起きているのか」を感じ取る必要があります。
転びそうなら支える。
でも、挑戦しているなら少し待つ。
危険は避ける。
でも、失敗する機会まで奪わない。
これは、正解を教える仕事とは少し違います。
その人の状態を見ながら、どこまで介入し、どこで待つかを判断する仕事です。
私は、この話を聞いて自然体験教育を思い浮かべました。
例えば化石発掘。
化石の年代や地層について説明することは、AIでもできます。
昆虫の名前を調べることもできます。
岩石の種類を判別することも、これからさらに容易になるでしょう。
でも、石を何度割っても化石が出てこない子がいる。
その時、
「ここを割れば出ますよ」
と答えを教えるのか。
「もう少し探してみようか」
と声をかけるのか。
何も言わずに待つのか。
別の場所へ誘うのか。
その判断は、知識だけではできません。
目の前の子どもを見て、
「この子はいま、諦めそうなのか。それとも、自分で考えようとしているのか」
を読む必要があります。
虫を怖がる子も同じです。
「怖くないよ」と言って触らせることが正解とは限りません。
少し離れたところから見る。
誰かが触っているのを見る。
自分から近づくのを待つ。
そして、本人が一歩近づいた瞬間を見逃さない。
そこには、
知識を教える。
とは違う専門性があります。
人の変化を見つける力。
です。
AI時代になると、教育の価値も少し変わっていくのかもしれません。
これまで教育は、
何を知っているか。
どれだけ覚えているか。
正しい答えを出せるか。
が重視されてきました。
でも、知識へのアクセスが極端に容易になると、人間側には別の力が求められる。
問いを持つ。
失敗する。
観察する。
違和感に気づく。
人に助けを求める。
自分でもう一度やってみる。
他者と関係をつくる。
そして、自分なりの意味を見つける。
こうした力です。
だから、「AIが教育を代替するか」という議論だけでは、少し足りないのだと思います。
AIは、教育をかなり助けるでしょう。
一人ひとりに合わせた教材をつくる。
質問に答える。
語学学習を支援する。
理解度を分析する。
先生の業務を効率化する。
それでも最後に残る問いがあります。
「この子を、誰が見ているのか。」
です。
成績ではない。
回答履歴でもない。
その子が今日、少し勇気を出した。
昨日より昆虫に近づいた。
失敗しても、もう一度石を割った。
友だちに道具を貸した。
そんな小さな変化を、
誰かが気づいている。
そこに、人がそばにいる意味があるのだと思います。
そしてこれは、地域づくりにもつながります。
ガイド。
保育士。
先生。
自然体験指導者。
地域の語り部。
こうした仕事は、一見すると効率化しにくい仕事です。
一人ひとりを見る必要がある。
現場へ行く必要がある。
関係をつくらなければならない。
時間がかかる。
でも、だからこそAI時代には価値が上がる可能性があります。
効率化できないから価値が低いのではなく、効率化できない部分にこそ、人間が担う意味がある。
そんな見方が必要になると思います。
これから地域で必要になる人材も、知識量だけでは決まらないでしょう。
自然を知っている。
歴史を知っている。
だけではなく、
参加者を見る。
相手に合わせる。
危険を読む。
問いを引き出す。
待つ。
励ます。
関係をつくる。
そして、その土地の意味を伝える。
こうした人材そのものが、地域の重要な資本になります。
【今日の問い】
「AIに任せられる仕事」と、「人に残したい仕事」は、本当に同じだろうか?」
できるかどうか。
だけではなく、
誰にやってほしいのか。
誰と経験したいのか。
誰に見守ってほしいのか。
そこまで考える必要があると思います。
AI時代だからこそ、
「何を知って帰ったか」
だけではなく、
「誰かに見守られながら、自分で何に向き合えたか」
という体験の価値が高まる。
子どもの自然体験も。
教育も。
地域ガイドも。
これからは、情報を提供する仕事から、
人の変化に伴走する仕事
へ進んでいくのかもしれません。
AIによって、人間の価値がなくなるのではない。
むしろ、
人間にしか任せたくないことは何なのか。
それを私たち自身が、これから決めていく。
10月31日、そんな社会の変化を考えています。
【参考資料】
Bill Gates interview, Oct. 22, 2026
※AI・ロボットの普及後も、保育、料理、芸術、スポーツなどを、人間が担う領域として社会が残す可能性について言及。
宮入正陽
株式会社 東京山側DMC 代表取締役
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