10月20日|今日は、地域創生を考えるうえで、かなり重要な3つの動きをつなげてみたいと思います。

【今日のニュースから考える|2026年10月20日】

今日は、地域創生を考えるうえで、かなり重要な3つの動きをつなげてみたいと思います。

一つ目は「金利」。日本銀行の植田総裁は昨日、日本の基調的な物価上昇率が2%の目標にかなり近づいているとの認識を示しました。9月に政策金利を1.25%へ引き上げた後も、今後さらに金利を調整する可能性があります。

長く続いた「お金を安く借りられる日本」という前提が変わり始めています。これから企業も自治体も地域事業も、「やりたいからやる」ではなく、その投資によって何が生まれるのかを、これまで以上に問われるようになります。

二つ目は「人手不足」。観光庁は昨日、宿泊事業者向けに、省力化投資の具体事例を共有するセミナー開催を発表しました。目的は単なる人件費削減ではありません。機械やDXでできる仕事は効率化し、人を本当に必要な仕事へ配置し、サービスの質を上げることです。

ここは地域産業全体に共通すると思います。

人口減少時代に、「もっと人を集めれば解決する」という発想には限界があります。

必要なのは、人が少なくても回る仕組みをつくり、そのうえで“人にしかできない仕事”の価値を上げること。

例えば宿泊なら、受付や予約管理は自動化できる。でも、地域の魅力を伝えること、その人に合った体験を提案すること、自然や文化の背景を語ること、人と人との関係をつくることは、人間の価値が大きい。

AIやDXが進むほど、「人が要らなくなる」のではなく、人がどこで価値を出すのかを再設計する必要があるのだと思います。

そして三つ目が「高付加価値観光」です。

今日10月20日、観光庁では「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり」の中間報告会が開催されます。対象となる高付加価値旅行者は、訪日期間中の着地消費額が一人100万円以上の層です。

重要なのは、「富裕層を呼んで高い商品を売る」という話だけではありません。

地域の自然、文化、食、宿泊、ガイド、移動、地域の人との出会いを一つの滞在体験として組み立てる。そして、一人の旅行者が使ったお金を、地域の複数の産業へ循環させる。

つまり、「人数」ではなく、一人から地域に生まれる価値を大きくするという考え方です。

この3つのニュースを並べると、これからの地域経営がかなり見えてきます。

金利が上がる。→ 投資の質が問われる。

人が減る。→ 生産性を上げる必要がある。

観光客数だけを追えない。→ 一人当たりの地域価値を高める必要がある。

つまり、これからの地域創生は、「もっと人を増やす」から、「限られた人・資源・資本から、より大きな価値を生み出す」へ変わっていく。

これは、人口減少を悲観するだけでは見えてこない視点だと思います。

森林が一つある。

それを木材としてだけ見るのか。自然体験教育、企業研修、ウェルネス、サスティナブルツーリズム、生物多様性、防災、水源涵養まで価値を広げるのか。

一人の地域ガイドがいる。

案内する人としてだけ見るのか。自然、安全、文化、教育、商品造成まで担える地域人材として育てるのか。

一人の旅行者が来る。

一泊して帰ってもらうのか。地域を歩き、食べ、学び、人と出会い、もう一泊し、また戻ってくる関係をつくるのか。

同じ資源でも、「編集の仕方」で地域に残る価値は大きく変わります。

【今日の問い】

「人口が減っても、豊かになる地域はつくれるだろうか?」

私は、可能だと思います。

そのためには、人口だけをKPIにしないこと。

一人当たり地域消費額。平均滞在日数。地域内調達率。ガイドの所得。再訪率。地域で育った専門人材。自然や文化へ再投資された金額。

こうしたものも、地域の成長を示す数字です。

これからの地域創生は、

人を増やす。
↓
仕事を増やす。

だけではなく、

生産性を上げる。
↓
一人の価値を高める。
↓
地域資源を複数の事業につなぐ。
↓
得られた利益を人・自然・文化へ再投資する。

という循環をつくること。

「人口減少=地域の衰退」と決めつけず、“少ない人数でも価値を生み出せる地域”をどう設計するか。

10月20日は、そんな視点で社会を見てみたいと思います。


宮入正陽
株式会社 東京山側DMC 代表取締役

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