9月25日|今日は少し、「認証」と「資格」について考えてみたいと思います。

【今日のニュースから考える|2026年9月25日】

今日は少し、「認証」と「資格」について考えてみたいと思います。

日本には、素晴らしい自然がある。
高い接客力がある。
地域文化がある。
経験豊富なガイドがいる。
優れた現場人材がいる。

でも、

それを世界に伝えるための「共通の物差し」が弱い分野があります。


例えば、自然の中で安全に案内できる。
地域文化を深く伝えられる。
環境への負荷を減らせる。
参加者に合わせて体験を設計できる。
事故が起きた時に適切に対応できる。

こうした能力を持っていても、「では、それを何で証明しますか?」と聞かれた時、日本では地域ごとの研修や経験年数、所属団体などで説明することが少なくありません。。。

一方、世界の観光市場では、
認証。
資格。
国際標準。
第三者評価。

こうしたものが、
少しずつ「信用のインフラ」になっています。


■ 日本版が存在すると、世界との接続が一気にしやすくなる

実は、日本にも成功例があります。

持続可能な観光については、「日本版持続可能な観光ガイドライン
JSTS-D」があります。これは国際的なGSTC基準に準拠しながら、日本の観光地域に合わせて設計された国内版です。
現在では、

地域マネジメント。
社会経済。
文化。
環境。

という4つの領域を、
データで評価する仕組みとして、自治体やDMOで活用されています。

さらに9月には、JSTS-Dの研修内容やロゴ制度も更新され、
国際競争力や地域ブランディングに活用することが明確に打ち出されています。

ここが重要です。

世界標準をそのまま輸入するでもなく、日本だけの独自制度をつくるでもない。

世界基準
+
日本の地域事情

を組み合わせる。

この仕組みがあることで、国内でも使いやすく、海外にも説明しやすい制度になります。


■ しかし、すべての分野に「日本版」があるわけではない

例えば、

自然体験ガイド。
アドベンチャートラベルガイド。
インタープリター。
地域プロデューサー。
自然公園人材。

こうした領域では、世界的に使われている基準や考え方はあっても、日本全国で共通して使える統一的な認証制度が十分に整っているとは言えません。

地域ごとに良い研修がある。
自治体ごとに認定制度がある。
現場には経験豊富な人もいる。

でも、

地域が変わると評価基準も変わる。

ここに、日本の弱点があります。


例えば、海外の旅行会社から「このガイドは、どの基準をクリアしていますか?」

と聞かれる。

安全管理。
リスク対応。
環境配慮。
顧客対応。
解説力。

日本側は、

「経験があります」
「地域では有名です」
「何年もやっています」

と説明する。

もちろん、それも大切です。

でも国際取引では、経験を「客観的な基準」
へ変換できることが重要になります。

認証制度とは、能力そのものをつくるだけではありません。

能力を

「他者に伝えられる形」

にする仕組みでもあります。


■ 今、観光庁も「人材の質」を明確に政策対象にし始めている

現在、観光庁はローカルガイドを「地域の魅力を伝える人」だけではなく、旅行者の満足度や消費単価を高め、
地方誘客や地域への愛着形成を支える存在として位置づけています。

さらに、ガイドを職業として成立させること。

人材育成。
継続的に働ける仕組み。
コンテンツとガイドを一体で高品質化すること。

ここまで政策テーマになっています。

今年は、全国15地域で「観光コンテンツとローカルガイド人材を
一体的に質的向上する」実証も進められています。

つまり社会の関心が、

「観光資源をつくる」

から、

「その価値を伝えられる人を育てる」

へ移り始めています。


■ DMOにも「研修受講」が必須になり始めた

さらに9月16日、観光庁は登録DMOの更新要件として、中核人材・実務人材の基礎研修受講を必須とする仕組みを明確にしました。
これも象徴的です。

組織名がある。
肩書がある。
経験年数が長い。

だけではなく、

必要な知識や技能を学び、

一定の基準を満たしていることを確認する。

観光産業でも、

「人材の標準化」

が進み始めています。


■ 世界では、認証そのものが「市場アクセス」になっている

持続可能な観光の国際基準であるGSTCでは、認証されたツアーオペレーターや観光地域について、第三者による評価を通じて「国際的に信頼できる事業者」であることを示す仕組みがあります。

ここで大事なのは、

認証は

「賞状」

ではないということです。

旅行会社。
企業。
自治体。
海外市場。

それぞれに対して、

「この水準を満たしています」

と説明するための

ビジネスインフラ

です。

つまり、認証を取得することそのものより、認証によって商談がしやすくなる。

価格を説明しやすくなる。
海外と取引しやすくなる。
人材を採用しやすくなる。
育成内容を標準化できる。

というところに、本当の価値があります。


そして、ここに大きな可能性があります。

日本には、現場の知識があります。
自然を読む力があります。
地域文化があります。
安全管理の知恵があります。
長年活動してきた人がいます。

足りないのは、

必ずしも能力ではありません。

その能力を、

「誰が見ても分かる形」

へ変える仕組みです。


【今日のニュースを一本につなげると】

JSTS-D。

GSTC。

ローカルガイド育成。

DMO研修。

高付加価値観光。

全部、

「良いものをつくる」

だけではなく、

「良いことを証明できる仕組みをつくる」

方向へ向かっています。

これは、非常に大きな社会変化だと思います。


【今日の問い】

「日本には、“世界に通用する日本版”が必要な分野が、まだどれくらいあるだろう?」

自然体験。
ガイド。
地域づくり。
インタープリテーション。
自然公園。
環境教育。
地域プロデュース。

現場では、
すでに高い能力を持つ人がたくさんいます。

でも、それを共通言語にする制度がない。

もしそこに、国際基準と接続した日本版の、

教育体系。
評価制度。
資格。
認証。

が生まれれば、

人材育成が変わる。
地域間で人が動ける。
海外から評価される。

仕事になる。

そして、

若い人に新しいキャリアの出口を示せる。

認証制度というと、

少し堅い話に聞こえます。

でも実は、「地域で培った知識を、仕事として未来へ残す仕組み」

なのかもしれません。

今日のニュースを見ながら、これから日本で必要になるのは、新しい資格を増やすことではなく、世界と日本の現場をつなぐ「意味のある認証制度」なのではないか。

そんなことを考えました。


宮入正陽
株式会社 東京山側DMC 代表取締役

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