10月16日|昨日、少し大きなニュースがありました。

【今日のニュースから考える|2026年10月16日】

昨日、少し大きなニュースがありました。政府は、日本経済について「デフレの国」という長年のイメージから脱却し、成長へ投資する国へ転換していく姿勢を改めて示しました。

2040年度までに、官民合わせて370兆円を超える投資を目指す。対象には、半導体、AI、量子技術、コンテンツ産業などが入っています。

今日は、このニュースを地域側から考えてみたいと思います。

これから地域創生も、「支援してもらう」発想から「投資したくなる地域をつくる」発想へ変わる必要があるのではないか。


これまで地域政策では、「人口が減っている」「産業が弱っている」「担い手がいない」といった課題を起点に、補助金や交付金を投入する形が多くありました。もちろん必要な支援です。

でも、これから金利が上がり、国の財政にも制約が強まれば、「なぜここへお金を入れるのか」「その投資から何が生まれるのか」が、今まで以上に問われるようになります。

つまり地域も、予算を取る。ではなく、投資する価値を示す。という発想が重要になる。


■ AIや半導体だけが「成長産業」ではない

政府が成長分野として掲げているAIや半導体は確かに重要です。でも、そのAIを動かすためには、電力、水、土地、通信、データセンターが必要です。

そして日本は今、中東情勢によるエネルギー輸送リスクにも直面しています。政府は10月13日、ホルムズ海峡を避けて原油を輸送する際に増加するコストを支援する法案を閣議決定しました。

つまり、世界最先端のAI産業も、最後は電力。水。土地。エネルギー。物流。という非常に物理的な基盤に依存しています。

ここで、地域の見え方が変わってきます。

森林がある。水がある。農地がある。再生可能エネルギーの可能性がある。食料をつくれる。文化がある。自然環境がある。地域を知る人がいる。

これらは、これまで「地域資源」と呼ばれてきました。でもこれからは、社会を維持するための基盤資産として見る必要があるのではないでしょうか。

地域にある自然や風土は、観光だけに使うものではない。教育。健康。防災。食料。エネルギー。企業研修。研究。サスティナブルツーリズム。さまざまな産業へ展開できます。


■ 地域に必要なのは「資源」より「事業化する力」

日本の地域には、資源がないわけではありません。むしろ、たくさんあります。

問題は、それを調べる。価値を見つける。編集する。商品にする。価格をつける。販売する。人を育てる。継続的に運営する。というところまで持っていける主体が少ないことです。

例えば森林も、「森があります」で終われば資源です。でも、自然体験教育にする。企業のウェルネス研修にする。ガイドツアーにする。生物多様性保全にする。地域の食や文化とつなぐ。

そこまで進めば産業になります。

地域資源と地域産業の間には、「編集」と「経営」が必要です。


そして、ここにAIも使える。

地域資源をデータ化する。観光客の動きを分析する。商品造成を支援する。多言語で発信する。予約や顧客管理を効率化する。地域の知識を整理する。

AIは地域の代わりになるのではなく、地域が持っている価値を外へ届けるための増幅装置として使えると思います。

だから私は、「地域か、AIか」ではなく、「地域×AI」だと思っています。


【今日の問い】

「自分たちの地域は、“補助金を必要とする地域”として説明しているのか、それとも、“投資すると新しい価値が生まれる地域”として説明できているだろうか?」

人口減少しているから支援してください。ではなく、この森林を使えば、教育、健康、観光、防災を同時に生み出せます。この文化を残せば、観光、人材育成、地域産業につながります。このフィールドで社会課題を実証すれば、全国へ展開できます。

そう説明できる地域には、行政予算だけでなく、企業、人材、投資も集まる可能性があります。

これからの地域創生は、「困っているから支援する」から、「可能性があるから投資する」へ。

そして地域側も、自然、文化、人、技術、AIをつなぎ、「この地域に投資すると何が生まれるのか」を示せるようになる。

日本全体が成長投資へ向かおうとしている今、地域も同じ発想へ変わるタイミングなのかもしれません。

地域を守るために、産業をつくる。文化を残すために、仕事をつくる。自然を守るために、経済価値をつくる。

10月15日のニュースを見ながら、そんなことを考えています。

【参考資料】
Reuters「日本政府、成長投資と財政持続性を両立へ」
Reuters「日本政府、エネルギー安全保障強化法案を閣議決定」
観光庁「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化」


宮入正陽
株式会社 東京山側DMC 代表取締役

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