9月29日|「日本の地方は、シリコンバレー級。」

【今日のニュースから考える|2026年9月29日】

「日本の地方は、シリコンバレー級。」

先日、非常に興味深い記事を読みました。

地方創生という言葉を聞くと、人口減少、高齢化、空き家、担い手不足、産業衰退。どうしても「課題」から話が始まります。

でも、この記事は少し違いました。

地方には、土地がある。自然がある。農業がある。文化がある。歴史がある。人間関係がある。そして何より、まだ解決されていない大量の課題がある。

その課題こそ、新しい事業が生まれる余地なのではないか。そんな視点です。


■ 地方創生から「地域発の産業創造」へ

今年8月。山形県庄内を拠点に、教育・農業・観光・企業変革などの事業を展開するSHONAIと、企業や地域のビジョンを経営・事業・ブランドに変えるNEWPEACEが経営統合しました。

興味深いのは、「地域企業+広告会社」という関係ではないことです。

未来を描く。事業をつくる。経営する。ブランドをつくる。資金を集める。人を集める。そして、実際に地域の景色を変える。

そこまでを、一つの経営体でやろうとしている。

地方創生が、「地域のPRをする」という段階から、「地域から会社や産業を生み出す」という段階へ進み始めているように感じます。


■ 「地方だから小さい会社」である必要はない

SHONAIでは、地方企業の第二創業や成長を支援し、全国で売上100億円規模の企業を生み出していく構想も進めています。

ここも、非常に面白い。

地方企業というと、地元で数億円。地域雇用を守る。地域の中で商売する。そんなイメージを持ちがちです。

でも、地域に根を張りながら、事業そのものは全国へ。場合によっては世界へ。

という会社が、もっとあっていい。

むしろ、地域固有の課題を解決する中で生まれたサービスだからこそ、同じ課題を抱える全国の地域へ横展開できる可能性があります。


■ ローカルで深くやることが、全国展開の条件になる

SHONAIは以前、「YAMAGATA DESIGN」という社名でした。

全国展開を進めるタイミングで、普通なら地名を外しそうなところを、逆に「SHONAI」へ変えています。

全国へ広げるから、地域性を薄める。ではない。

全国へ広げるからこそ、自分たちは「どこの、誰なのか」を明確にする。

これは、とても重要な考え方だと思います。

AIによって、文章も、デザインも、情報も、商品も、どんどん均質化していく時代です。

その中で、簡単にコピーできないものは何か。

土地。歴史。自然。文化。人。そこで積み重ねてきた実践。

つまり、「ローカルであること」そのものが、競争力になっていく可能性があります。


ここで東京を見てみると、さらに面白いことに気づきます。

東京というと、新宿。渋谷。銀座。六本木。丸の内。そんなイメージがあります。

でも、同じ東京都の中に、山がある。森林がある。清流がある。農業がある。神社や寺がある。祭りがある。伝統産業がある。野生動物がいる。人口減少地域もある。

つまり東京には、「世界都市」と「日本の地域課題」が、同じ都道府県の中に存在しています。

これは、考え方によっては非常に面白い環境です。

例えば、自然体験教育。サスティナブルツーリズム。ガイド育成。森林活用。文化体験。健康・ウェルネス。企業研修。地域交通。関係人口。生成AI。地域産業。

こうしたテーマを、一つ一つ別々の事業として見ることもできます。

でも、「地域というフィールドを使って、社会課題を事業化する」と捉えれば、全部つながります。

地域そのものが、巨大な研究所。学校。実証フィールド。商品開発の現場。になる可能性があります。


■ 地方には「課題」がある。だから実証できる

シリコンバレーには、資金。大学。技術。起業家。があります。

では、日本の地域には何があるのでしょう。

高齢化。人口減少。自然管理。交通。教育。観光。農林業。文化継承。医療。人手不足。

世界がこれから直面する問題が、すでに地域では起きています。

見方を変えれば、これは「未来の社会課題を、10年先に経験している」とも言えます。

だから、地域で解決策をつくり、実証し、仕組みにし、他地域へ展開する。

そう考えると、地域は「遅れている場所」ではなく、「未来を先に実験できる場所」になります。


そして、ここで重要になる仕事があります。

地域資源を知っているだけでは足りない。

地域課題を発見する。価値を再編集する。人をつなぐ。事業をつくる。資金をつなぐ。テクノロジーを使う。ブランドをつくる。そして、実際に現場で動かす。

こういう機能です。

これまでの地域では、コンサルタント。観光事業者。教育事業者。広告会社。システム会社。それぞれが別々に関わることが多かった。

でもこれからは、「地域の未来そのものを事業として設計できる主体」が必要になるのではないでしょうか。


【今日の問い】

「東京の山側を、“東京の周縁”ではなく、“未来の社会をつくる実証フィールド”として見たら、何ができるだろう?」

世界有数の巨大都市のすぐ隣に、森林。川。農地。集落。文化。地域産業。人口減少。自然環境。がある。

そして都心には、企業。大学。研究者。投資家。クリエイター。外国人旅行者。テクノロジー。がある。

この二つをつなぐことができれば、かなり面白いことが起きるのではないか。

地域で実証する。東京で企業とつなぐ。仕組みにする。全国へ展開する。そして世界へ。

地方創生という言葉の先に、「地域発の産業創造」という世界が見え始めています。

今日の記事を読みながら、東京の山側にも、まだ自分たち自身が気づいていない大きな可能性がある。そんなことを考えました。


宮入正陽
株式会社 東京山側DMC 代表取締役

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