探究心や自然を感じるセンスは、 継続的に養われる

櫻澤 裕樹 (TOKYO YAMAGAWA GUIDE)

Q:「みちくさの達人」というお名前の由来を教えてください。

 「NHK Eテレ「なりきりむ~にゃん生きもの学園」の番組アドバイザーとして出演し、その際に「みちくさの達人サクちゃん」という肩書きをいただきました。私は毎日、地域の野山で植物を観察しながら歩いたり、泳いだり、山に登ったり、ゴミ拾いしたりしていることを一言で言えば「みちくさ」です。私を端的に表す肩書としてそのまま使用させていただいています。

 Q:自然番組の監修・出演だけでなく、元環境省レンジャーもされていたと聞きました。これまでの活動で印象的だった自然の中での出来事はありますか?

日々変化する自然の中でのみちくさは、印象的な出来事ばかりです。ひとつだけを選ぶのは難しいですが、夏場の最高に晴れた日に秋川の流れに身を任せると、体と川と周囲の自然が一体化し、体が溶けて周囲の自然環境と一体になるような感覚を覚えることがあります。すごく印象的だった体験ですね。

 Q:東京山側というフィールドの魅力について教えてください。

大きな滝や湖、火山などの一般的な観光資源はほとんどありませんが、地域をよく知る人の目を通して東京山側を見ると、非常に興味深い要素がたくさん詰まっていることが分かります。特に、世界的な都市である東京の都心部から60〜90分でアクセス可能でありながら、国立公園が存在します。自然環境や独特な歴史的・文化的景観も含まれている点が魅力です。

Q:化石発見など、サクちゃんには人気プログラムがあります。子どもたちに体験してほしいこと、学んでほしいことはありますか?

様々な情報に関して、人が撮影・編集した2次・3次情報として容易に入手できるようになりました。情報のデジタル化が進み、情報が氾濫する時代だからこそ、自分の五感から得られる一次情報を定期的に獲得して欲しいですし、その重要性が高まっていると考えます。例えば化石発掘体験においては、きれいな化石や貴重な化石を見つけることよりも、自分の手で大地を掘り、自分の目でよく見て、足元の大地がどのように積み重なっているのか、何千万年~何億年前の環境を鮮やかに想像できる感性を、子供たちに養ってほしいと思っています。そのために私たち東京山側ガイド陣は、皆様を全力でサポートします。

 Q:子どもたちが自然で過ごす時間や機会が少なくなっています。東京山側でしかできない特別な体験はありますか?

日本は全国どこでも独自の自然環境と歴史文化が存在していますので、どの地域で体験できることも非常に貴重です。ただし、探究心や自然を感じるセンスは継続的に養われることが重要です。都心部から60〜90分でアクセス可能な東京山側に存在する自然環境は、繰り返し訪れることができる距離にあるためおすすめです。

 Q:探究型自然スクールの校長として、まだ東京山側を訪れたことのない方々への魅力をご紹介ください。

 東京山側には泳いだり、岩から飛び込んだりできる川や、国立公園なども一部含まれる豊かな森林が広がっています。このフィールドは河川を通じて東京都心部とつながっており、長い年月をかけてこの地域の山々が削られた土砂が堆積し、都心の土地が形成されました。かつてはこの地域で生産された石炭や木材が、江戸時代における世界最大の都市である江戸の発展をエネルギーと物流面で支え、経済的・文化的な交流も盛んに行われた場所でもあります。そして現代の東京山側は、子供たちに貴重な探究型自然体験学習スクールを提供するだけでなく、大人にとっても学びと癒しを提供する都市住民にとっての故郷です。万が一の災害時には、一時的な避難場所としても機能し、魅力に溢れた場所です。東京山側にぜひお越しください。

櫻澤 裕樹

みちくさの達人 サクちゃん

1978年4月4日、東京山側秋川渓谷出身。「みちくさの達人」と称して、環境教育系番組等の監修・出演など、各種メディアで発信中。大地といきものの不思議、多様性について、都心部のファミリー層を中心に、五感で感じて、楽しく学ぶための探究型自然体験学習スクールを提供している。東京山側にて、毎日みちくさと東京山側リバークリーンナップ活動を実践中。

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