国際基準のアドベンチャートラベルガイドの育成を推進していく

師岡 龍也

Q:東京山側DMCの拠点、あきる野市出身ということで、まずは東京山側の魅力について教えてください。

私の生まれ育った土地は、お祭りや自治会などの繋がりが強く、地域の方々に見守られて育ちました。今でも「たっちゃん大きくなったね」と声をかけられ、みかんや焼き芋などを、おばちゃんなどにもらうことがあります。コミュニケーションがある良い地域だなと感じます。

私は狩猟家系で、祖父は元猟友会会長でした。家に帰ればシカやイノシシが食卓に並ぶこともありました。子供の頃は祖父について行き、自然の深さや怖さ、美しさ、命の尊さも教育されました。そんな学びを東京でありながら日常的に体験できることが、東京山側の魅力です。同じ東京でも東京山側は秩父多摩甲斐国立公園もありとにかく自然が雄大で、四季に合わせ様々な姿を見せてくれます。そして秋川渓谷という美しい川が流れています。近くの多摩川とは異なり、深場も少ない為、子どもたちが遊びやすく生き物も豊富なのでファミリーに是非楽しんでもらいたいです。

ビジネスの側面で言いますと、私の感覚ですが都心にオリジナルは少ないと感じています。今まで地方に求めていた自然が東京にも存在しています。そして都心からも近いため連日視察にくる企業も多く、また都心企業の実証実験の場としての活用も行われています。

Q:スクールでは常に新しいプログラムを考え実施されています。探求型自然体験学習スクールに参加する子どもたちに対して大事にしていることはありますか?

探究型自然体験学習スクールで大切にしていることは「Let’s」です。私が学んだ国際基準のティーチングを心がけています。日本の自然環境問題などは「Don’t」が多いです。河川の問題でいうと、直火の焚火は禁止、BBQ禁止。その瞬間に、思考停止をしてしまいます。

しかし、アウトドアを楽しむための環境倫理プログラムのLeave No Traceなどは、先ずは「Let’s」です。そのうえでどんな地表ならインパクトが少ないか、炭をそのまま残すと海まで流れますが、灰で燃やし切るとミネラルに変わったり。もちろん持ち帰るのがベストですが、その場その場での判断力を身につけられます。

そして子どもたちに感じて頂きたいことは「意欲の根っこ」、「自己肯定感」、「思いやり」、この3つを探究型自然体験学習スクールという手段を使い、自分のものにして頂けるように日々向き合っています。

Q:新しい日本の産業と呼ばれるアドベンチャートラベルに東京山側は注力していきます。アドベンチャートラベル事業に対する期待やワクワクする部分を教えてください。

私が幼少期から学んできた自然の中での感覚、日本古来の山岳信仰・八百万の神など、日本人の自然に対する考え方。世界で1番地面が動く地質豊かな日本が生んだ、歴史文化を世界の人に体験を通して知って頂くことができる。そこに魅力を感じています。

そして国内唯一と言っても過言ではない右肩上がりの産業になります。こんなこと言うと怒る人もいるかもですが、東京が頑張らないと日本のアドベンチャートラベルは難しいと感じます。それは、2023年に北海道で開催された「アドベンチャートラベル・ワールドサミット(ATWS)」に参加して感じました。また日本の国際基準のアドベンチャートラベルガイド不足は大きな問題です。

インバウンドの7割は羽田・成田を経由し東京滞在します。東京山側では、この7割を取り込みタイト考えています。富裕層は今までの浅草、渋谷、スカイツリーではなく、自然体験や文化体験を求めています。そこで出番となるのが都心から約60分の東京山側です。東京から地方に行けば素晴らしい自然がありますが、いきなりインバウンドのお客様を送り込むのは現状難しいです。既存のゴールデンルート離れはすぐにはしません。新しい東京山側ツアーと、地方に眠るオリジナルのストーリーで繋ぐことにより海外への販売価値が付きます。


東京山側では、国際基準のアドベンチャートラベルガイドの育成を推進します。様々な可能性に溢れている産業なので、ワクワクしています。

Q:アドベンチャートラベル事業に対する目標を教えてください。

アドベンチャートラベル事業の目標は、まずは株式会社 東京山側DMCで上場を目指します。東京23区外と呼ばれる田舎から、新しい産業で上場企業を作ります。そして私たちが今までやってきたことは、地域課題をビジネスで解決することです。アドベンチャートラベルに関しても、観光産業のボトルネック、国際基準のガイド不足、ここに切り込んで行きます。さらに東京山側でアドベンチャートラベルツアー造成も同時進行しています。最大のマーケットである東京で販売します。アドベンチャートラベル産業を作り上げ、地方創生を行います。ここを目標として日々精進していきます。国内国外から東京山側の関係人口を増やしていきます。

Q:東京山側をどういったエリアにしていきたいですか?

東京山側で行う様々な事業を通して、多くの人に生まれ故郷の素晴らしさを知ってもらいたいです。少し生意気ですが、私の生まれた東京山側の価値を守りたいです。地域ボランティアの先輩方、ジオの会、里山ボランティア、猟友会、漁業組合などに光をあて、その粋なかっこよさを世界に発信していきたいです。東京でありながら、歴史文化、自然体験、実証実験が可能なこの東京山側で、地域愛をもつ起業家や移住者が増えていくと、世界に誇れる「東京山側カルチャー」が生まれるはずです。

師岡 龍也

たっちゃん

1992年5月28日生まれ、東京都あきる野市出身。

猟友会会長の祖父から影響を受け、幼いころから自然環境に対して興味を持つ。地域に国際基準のLeave No Trace(LNT)トレーナーを増やし、東京山側のLNTを牽引する。地域都立高校アウトドアコースへ年間授業も行う。本質的な地域課題を見つけ、ビジネスで解決する仕組みを作り、東京山側モデルの完成を目指す。世界や地域で活躍する人材を育成して、地域課題や困っている人を1人でも多く笑顔にする。

資格 WEA(COL)アウトドアリーダー資格 IELTS5.0 空手3段 SNS