10月21日|今日は、「地域資源が多い地域が強い」のではなく、地域にあるものの意味を伝え、外の世界とつなげられる地域が強くなるという話を考えてみたいと思います。

【今日のニュースから考える|2026年10月21日】

今日は、「地域資源が多い地域が強い」のではなく、地域にあるものの意味を伝え、外の世界とつなげられる地域が強くなるという話を考えてみたいと思います。

観光庁は現在、地域の観光資源について、多言語で「分かりやすく、魅力的に伝える」支援を進めています。単に日本語を英語に翻訳するのではありません。ネイティブライターなど専門人材を地域へ派遣し、外国人旅行者の視点から、「なぜこの場所が面白いのか」が伝わる解説へ作り直す取り組みです。

ここに、地域創生のかなり本質的な問題があると思います。

地域には、山がある。川がある。神社がある。祭りがある。古い道がある。農業がある。伝統技術がある。

でも、「ある」ことと、「価値として伝わる」ことは別です。

なぜこの地形になったのか。なぜこの神社がここにあるのか。なぜこの祭りが続いているのか。なぜこの食文化が生まれたのか。

ここまで説明できると、風景は「見るもの」から「理解するもの」に変わります。


そして今、観光政策でも「伝える人」の重要性がかなり高まっています。

観光庁はローカルガイドについて、地域の歴史・文化・自然を伝えることで、旅行者の満足度や消費単価を高め、地方誘客にもつながる存在と位置づけています。

私は、これは観光だけの話ではないと思っています。

地域を深く理解している人。

その価値を他者へ説明できる人。

人と人をつなげられる人。

自然と文化を一つの物語として編集できる人。

こうした人材そのものが、地域のインフラになる時代です。

道路や建物と違って目には見えません。でも、その人がいるかどうかで、同じ地域資源の価値は大きく変わります。


さらに、ここにAIとDXが入ってきます。

観光庁は観光DXによって、旅行者の利便性向上だけでなく、周遊促進、観光産業の生産性向上、観光地経営の高度化を進めています。

AIを使えば、多言語発信ができる。地域資源を整理できる。旅行者のニーズを分析できる。体験商品を提案できる。予約や顧客管理も効率化できる。

でも、AIだけでは「この地域の本当の価値」は分かりません。

現場を歩いた人。

地域の人と話した人。

季節の変化を見てきた人。

失敗も含めて、その土地で経験を積んだ人。

そうした一次情報があって初めて、AIは地域価値を増幅できます。

だから、これから必要なのは、

地域人材 × AI × 発信力

だと思います。


高付加価値観光でも、同じことが起きています。

観光庁によれば、高付加価値旅行者は訪日旅行者全体の約2%ですが、消費額では約19%を占めます。

でも、その人たちが求めているのは、単に高級なものではありません。

その土地にしかない自然。文化。歴史。人との出会い。そして、自分ではたどり着けない体験。

つまり、高付加価値化の本質は、値段を上げることではなく、地域固有の価値を深く理解し、他の場所では代替できない体験へ変えることです。


ここで今日のニュースを一本につなげると、

多言語解説。

ローカルガイド。

観光DX。

高付加価値観光。

すべて、

「地域にあるものを、外の人が理解できる価値へ変換する」

という方向を向いています。

地域創生というと、新しい施設をつくる。新しいイベントをつくる。新しい観光商品をつくる。

そう考えがちです。

でも実際には、すでにあるものの意味を掘り下げ、それを伝わる形に変えるだけで、地域価値が大きく変わることがあります。


【今日の問い】

「自分たちの地域にあるものを、“初めて来た人”に本当に説明できるだろうか?」

この山は、なぜここにあるのか。

この川は、地域の暮らしとどうつながっているのか。

この祭りは、なぜ続いているのか。

この食文化は、どんな風土から生まれたのか。

この人の技術は、なぜ価値があるのか。

これを説明できれば、地域資源は「背景」から「価値」へ変わります。

そして、

価値を見つける。

言葉にする。

体験にする。

世界へ伝える。

また地域へ利益を戻す。

この循環をつくれる地域は、人口が減っても強くなれる。

これからの地域創生は、資源の多さを競うのではなく、地域にあるものの意味をどこまで深く理解し、外の世界とつなげられるかを競う時代になるのではないか。

10月21日、そんなことを考えています。

【参考資料】
観光庁「地域観光資源の多言語解説整備促進事業」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/inbound_kaifuku/ukeire/kankochi/annaihyoji/shienjigyo.html

観光庁「持続的なローカルガイドの確保」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/local_guide.html

観光庁「観光DXの推進」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/jizoku_kankochi/kanko-dx.html

観光庁「訪日旅行での高付加価値旅行者の誘致促進」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/inbound_kaifuku/kofukakachi.html


宮入正陽
株式会社 東京山側DMC 代表取締役

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