10月13日|三連休が終わりました。
【今日のニュースから考える|2026年10月13日】
三連休が終わりました。
観光地には人が動き、道路は混み、宿が埋まり、各地でイベントも開かれました。
でも連休明けの今日だからこそ、少し違う問いを持ちたいと思います。
「何人来たか」ではなく、その移動によって、地域に何が残ったのか。
中国では、国慶節の大型連休で旅行需要が大きく伸びました。一方、国内旅行1回あたりの平均消費額は4年ぶりの低水準まで下がっています。
つまり、人が動いても、必ずしも地域経済が比例して潤うわけではない。旅行者は増えている。でも、財布の使い方は慎重になっている。これは日本の観光地にとっても重要な示唆だと思います。
これから必要なのは、
来訪者数を増やすこと。
ではなく、
「この地域だから、ここでお金を使いたい」と思ってもらうこと。
なのだと思います。
■ 観光の価値は、「移動」より「滞在の中身」へ
食べる。
泊まる。
ガイドと歩く。
自然を知る。
文化を知る。
地域の人と話す。
商品を買う。
そして、また来る。
一回の旅行の中に、こうした接点をどれだけつくれるか。
高付加価値観光で重要なのは、豪華にすることではありません。
「地域の中で過ごす時間を、どこまで意味のあるものにできるか」
ということだと思います。
中国の大型連休でも、長期旅行や海外旅行への関心は強く、旅行自体をやめているわけではありません。むしろ「使う価値があるものを選ぶ」という消費行動が強まっています。
観光地側にも、選ばれる理由の深さが求められます。
■ そして国も、「人を呼ぶ」から「人を地域に残す」方向へ
観光庁は10月8日、ワーキングホリデー外国人材を観光地で受け入れ、持続的な人材確保につなげる実証事業の採択結果を公表しました。
これは単なる人手不足対策ではないと思います。
地域に滞在する。
地域で働く。
地域の人と関係をつくる。
そして、その地域を外へ伝える。
旅行者と地域住民の中間に、新しい関係人口の形が生まれる可能性があります。
観光客。
移住者。
住民。
その三択だけではなく、
「しばらく滞在し、働き、地域と関係を持つ人」
という新しい層が、地域経済や国際交流を支えるようになる。
これはかなり重要な変化だと思います。
■ サスティナブルツーリズムも「理念」から「証明」へ
10月5日、観光庁はJSTS-D、日本版持続可能な観光ガイドラインのロゴ制度を更新しています。
JSTS-Dは、地域マネジメント、社会経済、文化、環境の4領域から、観光地が本当に持続可能なのかを評価する仕組みです。
取り組んでいる地域は、一定の手続きを経てロゴを使い、対外的にその姿勢を示すことができます。観光庁自身も、地域ブランディングや国際競争力向上につながると位置づけています。
ここにも大きな変化があります。
「自然を大切にしています」
「地域文化を守っています」
と言うだけではなく、
「どう管理しているか」「どう測っているか」「何を改善しているか」まで示す。
観光地にも、説明責任と客観性が求められる時代です。
■ つまり、これから地域に残すべきものは「売上」だけではない
三連休が終わった今日。
宿泊売上。
飲食売上。
来訪者数。
SNSの投稿数。
もちろん重要です。
でも、本当に残したいものは、それだけではないと思います。
ガイドの仕事が増えた。
地域の商品が売れた。
子どもが自分の地域を知った。
旅行者と地域住民がつながった。
自然保全にお金が回った。
外国人材との新しい関係が生まれた。
「また来たい」という理由が生まれた。
こうしたものが残れば、旅行は一回の消費で終わりません。
人が動くことが、地域の資産になる。
そこまで設計できるかが、これからの地域観光の差になると思います。
【今日の問い】
「この三連休で、自分たちの地域には何が“積み上がった”だろう?」
観光客が来た。
売上が上がった。
で終わるのか。
それとも、
新しい関係が残った。
次に来る理由ができた。
地域の人が誇りを感じた。
仕事が生まれた。
自然や文化を守るお金が生まれた。
そこまで残せたのか。
これからの観光は、
人を呼ぶ産業から、関係と価値を蓄積する産業へ。
三連休明けの今日だからこそ、「人がどれだけ動いたか」ではなく、「その移動を地域の未来へどう変換できたか」を考えてみたいと思います。
【参考資料】
Reuters「China’s Golden Week travel surge masks cautious consumer spending」
https://www.reuters.com/world/asia-pacific/chinas-golden-week-travel-surge-masks-cautious-consumer-spending-2026-09-29/
Reuters「China Golden Week spending per trip hits four-year low」
https://www.reuters.com/business/retail-consumer/chinas-domestic-travel-spend-during-golden-week-hits-110-billion-2026-10-09/
観光庁「観光地におけるワーキングホリデーを通じた双方向交流の促進事業」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/kobo13_00009.html
観光庁「日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)ロゴマーク」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/jizoku_kankochi/jizokukano_taisei/torikumi/jsts-d_logomark.html
宮入正陽
株式会社 東京山側DMC 代表取締役
このコラムは、週3〜4回メールでもお届けしています(無料)。
メールで受け取る(登録はこちら)